認知症ケアにおける課題と対策

介護職の中には、認知症ケアに苦手意識をもっている人も多くいます。
中には「認知症だから仕方がない」という結論に至ってしまう人も少なくありません。
このように考えてしまうのは、認知症ケアの根拠となる理由を探る力が育っていないことが考えられます。
利用者が力を発揮してイキイキと過ごせる時間を増やすためにも、また、利用者が混乱した状態から少しでも早く開放されるように支援するためにも、チーム全体で、この力を高めることが認知症ケアにおける大きな課題です。

介護職の仕事は、要介護者が自分の力で少しでも自立した生活ができるようにサポートすることです。
歩けなければ車いすを用意するなどして移動の自由を確保しますし、食べにくさがあれば刻み食やムース食などで食べれるように工夫します。
つまり、要介護者が暮らしの中で困っていることを見つけ、最適なサポートをすることが介護職の役割といえるのです。

ところが、認知症があると、その混乱や困惑から生じた言動の理由を探ることよりも、どう対処するかということに関心が向きがちになります。
そのため、認知症ケアが苦手な人でそういった傾向がみられることに気がついたら、認知症の人の言動の理由を探ることに注意してみましょう。
そうするうちに、利用者がどんな時に困っているのか、どんなことに興味を示すのかということが理解できるようになり、ケアにいかせるようになってきます。
こういった工夫をすることで、認知症を抱えていてもイキイキと暮らすことができる利用者を多く目にすることができるでしょう。
「苦手だから」で終わらせるのではなく、正しい認知症のケア方法を知ることで、苦手意識は解消することができるのです。