利用者の困惑に寄り添うケア

認知症ケアにおいて、介護職がよく出くわす問題が、家に帰りたがる利用者への対応です。
家に帰りたいといわれても、実際には家に帰ることはできないため、対応に困る介護職員は多いです。
認知症の場合、訪問介護のサービスを自宅で受けているにも関わらず、家に帰りたいといわれる場合もあります。
ここが自宅なのにどうすればいいのか…と戸惑うことも多いでしょう。
そうした困惑の対処方法として、本人の家に帰りたいという要望をごまかすために気分転換になるような働きかけを試すことはよくあるそうです。

こうしたシーンで、介護職の中で忘れてしまいがちなのが、利用者の困惑の解消です。
認知症を患っている人は、場所がわからない、理由なくイライラしてしまうなどの困惑があります。
それを解消したいと思って家に帰りたいと言っているのだとしたら、その困惑をごまかすためでなく、解消するために何ができるのかという目線で、できることを探す必要があります。

家に帰りたいという希望に対し、「帰れない」というスタンスで関わると、利用者をヒートアップさせてしまう確率が高くなります。
同時に、職員が焦ったり、戸惑ったりする確率も高いです。
そうした状況を避けるためには、家に帰りたくなる何かが利用者にあったのだと捉えて、その理由を探ることが大事になります。
介護職に求められるのは、困惑している利用者に寄り添うことです。
困惑した気持ちに寄り添ってもらえたと感じたら、利用者側も落ち着きを取り戻すケースは少なくありません。
また、どのようなタイミングで、帰りたいと言い出すのかを観察し、それをチーム内で共有することも重要です。